RIZAPグループ(株)【2928】
2018年に株価が大暴落して早4年が経過しました。事業構造の改革を経て経営を再建中ですが、chocozapの新事業モデルを立ち上げて復活の狼煙を上げようとしています。
chocozap
RIZAPが総力を挙げて立ち上げた新ブランド「チョコザップ」は、1日たったの5分のちょいトレ習慣をコンセプトにしています。コンビニへ行くぐらいの軽い気持ちでフィットネスジムに足を運んでもらうことを想定しています。
そのため、着替え不要、シューズ履き替え不要とジムへ行くハードルが相当低くなっています。その代わりシャワー室などの設備は削減した運営方針です。
コンビニ並みの店舗数へ
2021年10月にテストオープンの1号店が誕生し、本格稼働したのは2022年7月で77店舗まで出店を増やし続けました。同年10月からはメディアにも盛んに取り上げられるようになり、12月には200店舗まで出店し、2023年3月までに300店舗にする計画です。さらに3年後の2026年3月には2,000店舗というコンビニ並みの店舗数を目標としています。
徹底したコスト削減
フィットネスジムで大きなコストを占めるのがトレーナーなどの人件費です。入会受付から設備の使い方や清掃など、一般的な割合としては30%程度がコストとして計上されます。
chocozapはそこを抜本的に削減して、入会手続きや入退館はスマホアプリで完結されます。更に店舗にはスタッフがおらず「無人化」です。トレーニング機器の使い方などはスマホの動画で確認するスタイルです。とはいってもそこまで難しいものはないと思いますけどね。
各ジムには、防犯カメラが設置されているため、遠隔でモニタリングする程度の人件費で済むようになっています。そのため、想定される人件費がわずか「2%」と驚異のコスト削減です。
セキュリティ面
スタッフが常駐していないのでセキュリティ面が不安と感じますが、入退館はスマホのQRコードで誰が何時に滞在していたのかを把握できるようになっていると思われますし、防犯カメラの抑止力も働きますので、そんなに心配することはないように感じます。
クチコミではロッカーが鍵無しの「オープンロッカー」なのが不評で、確かにこれは微妙ですね。旅館やスパでもオープンロッカーをよく見ますが、鍵付きの貴重品ロッカーは用意されているのが普通です。コストを抑えるためには鍵がない方が安価ですし、紛失時の対応も楽なので理解できますが、ここは改善の余地があるでしょう。
エステ・脱毛が無料
運動をするのが第一のコンセプトですが、RIZAPは美エステにも力を入れていることから、完全個室のセルフエステとセルフ脱毛が無料で付帯します。月額料金が約3,000円で通い放題というのはコスパが良すぎです。設備のない店舗もあるようですが、コンビニ並みの出店数でこのようなサービスが提供されたら女性ユーザーの集客はかなりの数が見込めると思います。
スターターキットを無償配布
更に大盤振る舞いなのが、入会すると体組成計とヘルスウォッチが無償配布されます。
体重・基礎代謝・筋肉量・体脂肪率・血圧・心拍数・消費カロリーなどの計測が行えるようになり、自社で開発した「chocozapアプリ」にBluetoothで自動連携させることが可能です。
なお、これらの費用は年間で40億円が見込まれており、RIZAPの新規顧客の獲得の本気度が伺えます。ちなみに入会金3,000円と事務手数料2,000円の5,000円がかかりますので、スターターキットはこの収入が充当される模様です。
ただし、2022年11月15日までは入会・事務手数料無料キャンペーンが開催されているので、0円で入手できます。株主としては大丈夫・・・?と不安になるところではありますが、使って頂けないと意味がないので、必要な先行投資です。
業績計画
chocozapの事業モデルの中身を見ていきましたが、今度は収益関係を見ていきます。コンビニのようなジムは今までになかった業態ですので、期待値は非常に高いです。
出店数
そもそも今期末に300店舗、3年後に2,000店舗の実現は可能なのか?といった疑問がありますが、これは今の経済状況が逆に味方しています。コロナ過により多くのお店が撤退してしまったため、小規模店舗の空きが多いのです。
さらに凝った内装は不要で、基本的にトレーニング機器を搬入ぐらいなので撤退時の原状回復のコストも最小限に抑えられます。6ヶ月連続で赤字となった店舗は早々に撤退するルールを設けて傷を浅くしつつ、需要のある地域への新規出店を展開していくモデルです。このモデルが見事で、撤退した店舗のトレーニング機器は別の店舗に移せばいいだけなので、設備の新規購入は不要で魅力ある地域へ切り替えがスムーズに行えるようになっています。そのため、2,000店舗の出店は十二分に射程圏内でしょう。
営業利益300億円
RIZAPグループ全体で、営業利益を300億円確保する計画が立てられており、その半額以上の170億円をchocozapで得る予定です。成長への投資額をほぼ一極集中でチョコザップに投入する計画で、RIZAPの社運を賭けた事業です。
人件費2%の事業モデルですから、固定費の負担が最小限に抑えられているので実現可能性は高そうに感じます。テナントであれば解約すればその場で終わりますが、人件費は整理するのが大変なので、それがないだけで意思決定がスムーズに行え、業績にも反映してくるでしょう。
株価は?
2022年11月時点の株価は146円で、時価総額は800億円となっています。上場企業で営業利益を300億円確保している時価総額は大体4,000億円を超えていますので、その理論値で行くと3年後には約700円になります。
2017年頃には200円から1,500円まで7倍以上の株価に上昇していますので、700円もあり得ない数字ではないと思いますが、前回の大暴騰は「負ののれん」が株価の押上要因となっていました。その際の負ののれんは80億円近かったですが、現在は約20億円まで減少しています。
2022年3月期の当期純利益は約21億円の黒字ですので、過去ののれんの事件を考えると株価上昇はまだまだ見込めそうになく、ここ数年100円台を推移しています。
今後の注目
chocozapは私の生活圏にはまだありませんが、近隣にオープンした場合は通いたいと思っています。RIZAPの株主優待はポイント改悪がひどくなっているので、chocozapの利用券として提供してくれたら確実に年単位で通います(笑
2022年11月10日に四半期決算の発表がありますので、chocozapの進捗を重点的に確認したいところです。無謀なM&Aを繰り返して株主に大損失を被らせたRIZAPですが、それでも誰もが知る企業に成り上がった実力や先見の明があるのは確かです。
それぞれのグループ会社との相乗効果を発揮しつつ、chocozapでの逆転劇を期待しましょう。