(株)関門海【3372】
ふぐ料理といえば高級品というイメージですが、関門海はとらふぐ料理を格安で提供しています。美味しい時期は冬のため、利益の大半は冬季に偏っています。
どんな会社?
とらふぐ専門店「玄品」を運営しており、主に首都圏に展開しています。
都道府県 | 店舗数 |
---|---|
東京都 | 20 |
神奈川県 | 9 |
大阪府 | 18 |
主に出店しているエリアは上表の通りです。(2024年2月調べ)
全国展開もしていますが、総店舗数は約60店舗なので約8割強を首都圏で営業しています。
黒字に回復
2021年に大赤字へ転落しましたが、中国をはじめとしたインバウンド需要の恩恵を受け、売上高はV字回復し営業利益および当期純利益も黒字を確保しています。
お店の内装は綺麗で料理も美味しいので、客足が戻ってきて安心しました。ふぐ料理は冬が旬なため忘年会や新年会シーズンが賑わう時期なので、いかに集客を維持できるかで今後の業績に影響を与えます。
安さの理由
「ふぐ=高級」というイメージが一般的ですが、定番の「玄コース」は税込5,000円と破格の安さです。以前までは税込4,400円でしたが、原材料費の高騰で値上げが実施されました。それでもお安いことには変わりなく、どうしてこんなに安くふぐを提供できるのか不思議ですよね。
その理由はふぐの違いにあるのですが、大きく分けて下表のとおり3種類あります。
No | 種類 | 備考 |
---|---|---|
1 | とらふぐ | 飼育年数は1年~1.5年程度 |
2 | 大とらふぐ | 身が肉厚でプリプリ触感 |
3 | 天然とらふぐ | 漁獲量が少なく、高級食材 |
玄品が手掛けるのは一番安価な”とらふぐ”で、養殖されたものを大量に仕入れています。そこから旨味成分を最大限に引き出す”熟成技術”を用いてからお客様に提供しています。
私は高級ふぐを食べたことがないので、厳密な比較は出来ませんが玄品のふぐ料理はとても美味しいと感じました。
人材育成
毒を有するとらふぐを調理するためには、調理師とは別に特別な免許が必要であることから、人材育成にも注力しています。会社組織で研修等を通じて技術を高めていますが、昨今の雇用状況から厳しい面もあるようです。ただ、ふぐ調理師がいなければ営業できない訳ですから新規参入に一定の壁があるのも確かです。
「玄品」は既にチェーン店を広げていますので、法的リスクではなく法的メリットを十二分に活かして大衆へのふぐ料理の提供を進めています。
新業態への展開
とらふぐ料理は魅力的な業態ですが、その利益が”冬”のみに限られてしまうと機会損失も甚だしく、一向に経営改善が進みません。
目下の課題として”夏”シーズンにも目を向けて、ハモやうなぎ料理も取り扱うようになりました。さらにデリバリーやテイクアウトなどの販路拡大に注力しています。
株式情報
本社は大阪府大阪市に位置し、決算月は3月です。2021年8月に株主優待の改悪が発表され株価は大暴落しました。更に2024年2月にも改悪発表があり、大暴落続きです。配当金は無配ですが、それぞれを紹介します。
株主優待
権利確定月:3月 9月 年2回
保有数 | 株主優待 |
---|---|
100株 | ¥2,000 |
300株 | ¥4,000 |
600株 | ¥8,000 |
1,000株 | ¥12,000 |
2020年7月15日付で100株は1,000円から2,000円へ拡充しましたが、2021年8月に株主優待の改悪が公表されました。贈呈金額の変更はありませんが、1枚2,000円の優待券に統一化するという内容でした。
改悪の比較表
項目 | 当初 | 2021年~ |
---|---|---|
額面(1枚あたり) | 4,000円 | 2,000円 |
使用枚数 | 何枚でも利用可 | 1コース1枚のみ |
対象メニュー | 単品料理でも可 | コース料理のみ |
改悪前の300株以上の場合は1枚4,000円券が頂け、定番の「玄コース(当時4,000円相当)」が無料でお食事出来ましたが、1枚2,000円に変更されたことから2,000円割引券と価値が激減しました。
更に使用枚数が1枚のみやコース料理のみと限定されたため、利便性も著しく低下しています。4,000円券の時は、使用制限がなく単品メニューでも総額から額面分の金額が割引され、複数枚の使用も可能だったので存分にふぐを堪能できたんですけどね。
株主優待改悪によって1,000株保有者は2,000円券×6枚が贈呈されるので、店舗利用する場合は6回来店しないといけなくなりました。
商品交換
店舗利用の魅力は大幅に激減しましたが、辛うじて商品交換の線は残されました。
福楽節度(2~3人前)の商品であれば、10,000円分の株主優待券(複数枚可)で交換が可能だったので、まだまだ利用価値はありました。
しかし、2024年2月にこちらも改悪が発表され「お取り寄せ商品1品につき1枚限り」の制限が追加されました。当然ながら株価は20%を超える大暴落しています。
お取り寄せ商品の制限がなかったころに頂いた10,000円相当の家庭用ふぐセットです。ふぐはお店で食べるもの、と思っていたので、お家でふぐ料理が食べられるのは嬉しいです。
2~3人前の内容品の紹介です。鍋用のとらふぐ、スープや調味料の一式セットです。野菜は別途用意が必要ですが、好きな具材をたくさん入れられる楽しさが生まれます。また、ひれ酒用の焼きひれも入っていますので、お酒を嗜む方は嬉しいセット品です。
ネットでとらふぐを購入しようとすると1人前3,000円前後するので、高くもなく安くもなくといった価格帯です。外食を控えることも多くなっていますので、自宅で気軽にお鍋が楽しめるのはいいかもしれませんね。
利回り
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
1株 | ¥225 | 2024年12月時点 |
100株 | ¥22,500 | |
株主優待 | ¥2,000 | |
配当金 | ¥0 | |
利回り | 8.89% |
株主優待の額面は2,000円×2枚で4,000円ですが、店舗利用不可の制限が付いているので半額と仮定します。それでも利回りは約8.8%と高い利回りを誇っています。ただ、人によっては無価値と思う方も多いので、店舗利用をしない方にとっては利回り0%です。
株価は300円台まで回復したのが、あっさり200円前半まで暴落しています。400円台を安定的に推移してほしいところですが、今後の業績に期待したいところです。